M-1グランプリ2019
去年ほどしっかり準決から追えなかった上に敗者復活すら観れなかったため簡単に纏めます。
1st
①ニューヨーク「ラブソング」 73点
トップ出番ということを差し引いても相当酷いと感じた。笑えるポイントが一つもなかった。
そもそもM-1に歌ネタで来ること自体研究不足というか、どう振り切っても勝てるタイプのネタじゃないと思う。クオリティも決勝レベルとは程遠い。
準決を見た知人によれば当落線上だったらしいがこれなら和牛をストレートで上げるか、アインシュタインが見たかった。まあ和牛は後述するけど自業自得ではあるんですが。
あと松本さんの指摘に対しての屋敷のリアクションはどうかと思う。あれは他の審査員に対しても失礼だし、芸人なら笑いにして欲しかった。ニコニコ炎上とかもあったけどこのコンビはまず人間性が好きではないです。
もう圧巻。何年も前からやってるネタだしお笑い好きなら色んなところで何回も見てるネタだと思うけど、最初に見たときより笑えることに感動してしまった。
山内の狂気を孕んだ暴走に対しての濱家のリアクションが、視聴者の意見ほぼそのままになってるところが凄くて、だから入り込めるんだと思う。
テンポ、間、強弱、トーン、全体を通してのバランス。何もかもが完璧で、94くらいかなって思ったけど見直せば見直すほど完璧に見えてきて98くらい付けたい。
M-1優勝に必要不可欠な要素である爆発力にはやや欠けるのかもしれないけど、それを補って余りある技術力が素晴らしい。今年のかまいたちが優勝出来ないっていうのが今年のM-1のレベルの異常さを証明している。
③和牛「内見」87点
上沼さんのカミナリとかまさかの最終決戦逃すとか色々悲劇の目で見られていると思うけど、打倒も妥当だと思う。今年は特に期待ハズレ感があった。
巨人師匠の言葉通り、和牛は川西のツッコミのバリエーションで笑いを取っていくコンビなのに一緒にノリボケみたいになるのはよくないと思う。また同じ展開を繰り返すところがどうしてもショートコント感がある。
やっぱ和牛はドライブと夏祭りの時に優勝させてあげるべきだったなあと毎年思いますね。あれが完成形だったはずなのにあれで優勝出来なかったから毎年違うタイプのネタを持ってきてるけど、どうしても高まる期待感を超えてこない。
あとは盲目なアイドル的目線の女性ファン達が甘やかし続けていることが、ずっと足を引っ張ってる。こんなとこで言っても届かないけど、和牛が一つ上のステージに行けないのはお前らのせいだとここで言っておきます。
上沼さんの仰ってた事は概ね正しくて、敗者復活から来るようなコンビじゃないし、実力を知ってて誰よりも応援してるからこそある意味M-1を舐めたような姿勢に我慢ならなかったんだと思う。
自分も好きだからこそ厳しい目線で見てしまうんですけどね。というか2015年に銀シャリがサクッと優勝してれば全く別の未来があったと思う。
トレンディを過大評価した礼二、増田以外の歴代チャンピオンは一生許しません。
④すえひろがりず 「合コン」 89点
タイプで言うと髭男爵とかテツandトモに近い、固有システム形の芸風。M-1だと評価されにくいですが腹抱えて笑いました。ちゃんと古典の世界観をネタに落とし込んで笑いに変えている。
「関白だーれぞ?」とかめちゃくちゃ良いですよ。もしその時代に合コンがあったらこんな感じだろうなぁって本当に思わせてるところが良い。
おまけに末広がりの8位とかよく出来ててある意味優勝より得したのでは?w
これから正月特番にたくさん呼ばれるでしょう。
⑤からし蓮根「運転教習」 91点(82点)
一番期待していたし、ABCの新人賞このネタで取った時から今年の優勝候補と思い続けてきたから1stから惜しみなく出してきたことに称賛なんだけど、もう誰が見ても分かるくらいガッチガチだった。91点は本来の出来なら取れてる点で82点が実際の出来。序盤ほぼ笑いがなくてお客さんを掴めなかったことが全て。伊織が轢き逃げするくだり無かったらニューヨーク以下だったかもしれない。本当残念だった。
でもまだ若いし、今年は顔見せで来年以降、また強いネタ作って帰ってきて欲しい。何気に方言ツッコミするコンビが優勝したことがないのでそこにも期待しています。
⑥見取り図「褒め合い」 84点
個人的に凄い好きなコンビだし、ワードセンスが堪らないんだけどM-1では評価されないだろうなとずっと思ってて、去年の惨敗があったので千鳥ポイズン化したら嫌だなと思ってたけど杞憂だった。というか自分の点より遥かに審査員が評価してくれましたねw
去年より手数増やして、ワードもかなりハマっていた印象。ネタ自体ちょっと散らかってたけど、恐らく劇場とかで見せてきたワードの中から選りすぐりを詰めたんでしょう。下手にうまぶるよりよっぽど良かった。
去年酷評の松本さんがあれだけ褒めてくれただけでも相当救われてる。
⑦ミルクボーイ「コーンフレーク」95点
流れ的にもそろそろ爆発があるかというような雰囲気の中、見事やってくれました。まさか歴代史上最高までいくとは思わなかったけど、無名のコンビがここまでやるということ、コント形式ですらない王道の漫才だったということが評価されたのかなと。
コーンフレークってチョイスが絶妙で良いし、それを貶すネタなのにツッコミの人柄と言葉遣い、テンションが優しくて攻撃的じゃない笑いに変えているのが時代に合っているなと感じた。行ったりきたりで揺さぶられたって松本さんのコメント通りだった。なんかやられたなーって感じでしたw
⑧オズワルド「先輩に気に入られたい」89点
ミルクボーイの大爆発の後に対照的なスローテンポの東京漫才はかなり不利かなと思ったけどとても良かった。敢闘賞があるならこのコンビに差し上げたい。
おぎやはぎやポイズンが散々痛い目を見てきた中でここまで評価されたことが称賛に値する。テンポも声も良くて、劇場で10分とか15分聞いていたいような心地よいネタだった。十分爪痕を残したと思う。
⑨インディアンス「おじさん形女子」82点
ここは色んなところから期待されてて3連単も上位に来てたけど、一番インパクトが強くないといけないコンビなのに終わってみれば一番印象に残らない感じになってしまった。
完全に劣化アンタッチャブルなんですよ。ザキヤマがギリギリ鬱陶しくないラインなのに明らかに超えてるし、それを治めるツッコミが抑え切れていない。田渕とザキヤマ以上に柴田ときむの差が大きすぎる。これだとありがちなキャラ漫才にしか見えない。
来年以降も厳しそうかなと感じてしまったのが非常に残念。
⑩ぺこぱ「タクシー」90点
もう衝撃w去年のトムブラウンを超えるインパクト。
ツッコミでありながらツッコまないってなんかありそうで誰も形にしきれなかったと思うけど完全に自分たちのスタイルにしていた。とろサーモンがスカシでもし完成してたらこんな感じだったのかなと思う。
「知識は水」とかさりげなく意味わからないのも好きだったし、個人的には「ふぁい方」とかいう言い方でもうツボってしまったw
最終決戦
①ぺこぱ「お年寄りに席を譲る」 96点
もう完全にぺこぱの虜になっていたのでゲラゲラ笑ってしまいました。お客さんも一度見て理解してるから飲み込みが早くて1本目より受けていた印象。この時点でもしかしたら優勝あるかもと思いました。
②かまいたち「トトロ」92点
山内の狂気が更に増したネタ。やっぱ濱家のツッコミがわかりやすく共感できるからお客さんを置き去りにしないのが凄い。でも1本目に比べると弱いかなと感じた。
③ミルクボーイ「もなか」95点
コーンフレークの後もなかてwチョイスが本当絶妙だしあれだけもなかの話されて全く食べたいと思わなかったのその通り過ぎて笑った。家系図のくだりがちょっとわかりづらい上にしつこかったのがややマイナスかなと思いました。
個人的にはぺこぱで、優勝はミルクボーイと予想しましたがここまでの差がつくとは思わなかったですね。
ただ異論は無いし、今年は総じてレベルの高い年となりました。初出場7組かつテレビ露出すら殆どないコンビもいて、かつてのようなマニア的な色物審査が復活してしまったのかとも危惧しましたが、2015年の復活以降、準決の審査は練度が高まっていてとても良いと思います。ミキ、四千頭身をきちんと落としたことも踏まえて。
和牛は猛省して欲しいです。きちんと準決やってればアインシュタインにだってチャンスがあったんだろうなと思うと本当浮かばれない。というか3年連続準優勝のコンビが敗者復活から勝ち上がるのはダメでしょ。その時点で負けている。
来年は今年の初出場組を中心に、特にからし蓮根。
あとは同士の優勝で金属バットにも火が付いて欲しいところ。ネイビーズアフロやツートライブ、コウテイやエンペラーとか劇場で燻る超若手達にもチャンスがあると確信できただけでも、とても良い大会だったと思います。